心のしくみ

カウンセリングを行っていく中で「自分の気持ちがわからない。」「よく思い出せないんです。」といった場面があります。これを心理学の言葉では「心理的抵抗」といいます。
普段の生活の中で自分が何をしたいのかわからない。理由はわからないけれど自分がどうしたいのかわからない。などがこれに当たります。なんだかややこしい話になってきましたね。

抵抗とは、精神分析における概念です。 個人が意識化したくない無意識的な衝動・欲求・感情・葛藤が意識化されそうになったとき、それらが意識に入り込んでくるのを回避しようとする防衛反応です。 精神分析において、こうした無意識的なものは、現在の意識的な自分の安定性を崩す自我の脅威になると考えます。                                               

ご本人は現在の状態から改善することに積極的な姿勢なのにも関わらず、カウンセリングやセラピー(心理療法)を進めていく上で、進行し難くなってしまう心の防衛反応です。
とはいえ、「心理的抵抗」はご本人の心を守ろうとするために働いている「守ってくれているもの」とも言えますので、「抵抗」が起こることには何かしらの意味があると考えられます。

例えて言うと、腕に深い切り傷があったとして、とりあえず見えないように包帯をグルグルと巻いておくことで切り傷のことは忘れてしまった、としても切り傷改善しないかもしれません。
その場合は、一度包帯を外して、適切に切り傷を処置して、再度、適度な量の包帯を巻いておくほうが傷の治りは早いかもしれませんね。

当相談室では、この「心理的抵抗」をご本人と私で協力しながら優しく外していくことが可能です。
優しく丁寧に抵抗を外して、これまで思い出せなかった「本当の気持ち」を理解し、心の中で解決させていくことで心の中に安心感が広がって行きます。

心理的抵抗が外れた方の一例はこちらをご参照ください。※事例は個人情報保護のため一部改変しています。

これにより、これまで他のカウンセリングでは中々改善されなかった方も、心の症状が加速的に改善しいくことが可能になります。
                                         

心のしくみ

当相談室にて改善されている方のメッセージを拝読させていただいて、私としても学ばせていただいていることの一つに、「本当の気持ちを伝えることで周囲から理解してもらえたことがとても嬉しかった。」といったメッセージがあります。
「うつ」や「自分に自信が持てない」などのセルフイメージで悩まれている方は、ご自身が望んている気持ちに気づきにくくなっているように思います。
家事や育児を完璧にこなせない自分を「ダメ」だと思ってしまっていたり、自分が苦しいのにも関わらず、こなせない量の仕事を引き受けてしまったり、ご本人の心の中では「周囲の役に立たなければ」と一生懸命なのですが、ご自身でも理由もわからずに頑張り続けてしまいバーンアウトしてしまう、ということが鬱症状の引き金になっているのかもしれません。

改善しておられる方々のメッセージの中で、「本当はその仕事をこなせないのでは、と自信がないんです。」や「母親として育児をしていく自信がないの。」など身近な家族や職場の仲間に「本当の気持ち」を伝えたことで、思ったよりもすんなりと気持ちを理解してもらえた、といったメッセージをよく拝見させていただきます。
また、伝えたことで相手の方から「実は私も自信がないよ。」と照れながら気持ちを伝えてもらった、ということもあります。
苦しい心の症状を体験し「ご自身の気持ちを振り返ってみる機会を持つ」ということは、もしかしたらご本人と周囲のコミュニケーションを振り返ってみることなのかもしれません。また、身近な周囲の方も同じようにご自身を振り返ってみる機会を持てることで、「僕も、(私も)本当は〇〇なんだよね…」と気持ちを表現することでお互いが笑顔になれる。(もちろんうまくいかない場合もあります。)

インターネットの通信が当たり前になっている昨今では、電話やインターネットがつながらないと連絡が取れず、不安になったり困ってしまうことも多くありますので、例えて言えば心の症状は「心の通信障害」ともいえるのかもしれません。

そして、心の症状そのものが、本当の気持ちを伝えるなどの「成長の機会」といえるのかもしれませんね(^^)

心のしくみ

悩みの原因になりやすい事柄の中で多くあげられるのが対人関係のトラブルかと思います。
夫婦関係や恋愛、職場の人間関係などなど、ケンカになったり、言わないけれど雰囲気悪くなってしまったり…嫌ですよね。

表面的な原因は様々ありますが、心の中での「トラブルの原因」にあげられることのひとつが、双方の「価値観、信念体系」(心理学ではビリーフとも言います。)の不一致です。
この「価値観」は人それぞれが、生まれてからの体験の中でそれぞれが固有に積み重ねられて作られていきます。
そのため、皆違って当たり前、といえばそれまでなのですが、厄介なのは、人それぞれ「自分と相手は同じはず。」と、どこかで思っている節があることです。これを「母子一体感」と呼ぶことがあります。

「母子一体感」とは子供の頃に誰もが持っている心の個性で、大人になってもある程度だれしも持っています。
子供の頃は誰もが一人で生きていくことができず、まだ知性も経験値もない子供は母親に対して、「自分の考えていることは何でもわかっていてくれているはず。」という幻想を抱いています。そして、両親にある程度容認してもらいながら成長していくことで、10代の中盤から後半の思春期以降に、様々な価値観を経験して大人としての自分を確立し、「親と自分は別の存在」として、一人の大人へと心の発達をとげていきます。
ところが、この「母子一体感」が幼少期にあまり満たされずに成長すると、対人関係の中で「言わなくてもわかってもらえるはず。」という感じ方が強く残ってしまうことがあります。

ひとはそれぞれの、本音や願望「○○したい、○○であって欲しい」と価値観「~○○であるべき、~○○であらねばならない。」のバランス中で調和し社会生活を営んでいますが、家庭や職場などで会う機会が多い人(関係性が近い人)に対し、自然と「言わなくてもわかって欲しい。」(母子一体感)を求めてしまいます。
「旦那は(妻は)私の気持ちを察するべき(俺の言うことを聞くべき)。」「なんだよ、あの上司!!上司のくせにだらしない!!(上司は常に立派であらねばならない)」などを求めると悪口になったり、無視するなど、トラブルの種となっていきます。

先の話の通り、価値観は人それぞれ小さい頃からの体験の積み重ねで作られていきますので、似たような価値観でも人それぞれ違います。
近い価値観を共有しやすい人同士であれば調和しやすく、違っていても受け入れられる人ほど安定した人間関係を築きやすいのです。
反対に、小さな不一致すら気になってしまう、違うことなどありえない!!と、なってしまう人ほど、人との摩擦が起きやすくなってしまいます。

人間関係に悩むときは、この自分自身の持っている「本音や願望」をしっかりと認めてあげること、そして「価値観、信念体系」を客観的に見直して自己理解をしていくことがとても有効になります。そういった機会を持ち、自身の価値観を柔らかくしていくことで、その後の人間関係を柔軟にしていくことが可能です。

効果的に活用されている方の一例がこちらです。※事例は個人情報保護のため一部改変しています。

心のしくみ

自分が好きになれない。人には嫌われる…。どうしてこんな性格に生まれたのだろう…。ネガティブでとても臆病だった私、鈴木も長年こんな風に悩んできました。

心理学の世界では心の個性の成り立ちは、誤解を恐れずに言えば「気質(先天的に生まれ持ったもの)」と「性格(生まれた後に作られてきたもの)」とに分けて考えます。
ネガティブに考えてしまう考え方の個性や自分のことが好きになれない自己イメージの歪みは、生まれたばかりの乳児期から幼少期、またその後におよぶ体験からの「学習の積み重ね」と心理学では考えます。

例えば、ヘアスタイルを変えたばかりの女性が、友人や同僚から「素敵だね!」と声をかけてもらうと、「ありがとう(^^♪」と素直に喜べる人と、「そんなことないっ!」と否定してしまったり、そもそも喜ぶ反応ができない人がいたとします。もちろん表現することを照れる人もいますし、人それぞれ度合は違いますが、もしかしたらそれぞれの以前の経験から、「素敵だね!」と言われることを”良い経験”として多く学習している人は、素直に”喜ぶ”という反応をするかもしれません。一方で、素直に表現できない人は、”表現しないほうが傷つかない”などの経験を学習しているのかもしれません。

幼少期から自分自身の気持ちを表現し、それを周囲から受け入れてもらえた体験が多い人ほど自分自身に対するイメージを肯定的に受け止めやすく、反対の場合、ネガティブに受け止めやすくなっていきます。幼少期のこの「受け止め方」が原型となって、その後の成長の中で様々な体験を人は経験し、反応していくので幼少期の周囲からの受け入れてもらった体験がとても重要になっていきます。

言い換えれば、心の発達には後天的な要因がある、ということでもありますので、イメージや記憶など脳的な仕組みを活用することで性格(心の感じ方の個性)は修正していける、とも言えます。

心のしくみ

心理療法を有効に活用していただくために、ご予約の前に知っておいていただきたいこと

お身体の状態が整っているか、事前に医療機関でご確認ください。
例えば甲状腺機能低下症など、お身体の不調からくる「食欲不振」「意欲低下」など「うつのような状態」は心理療法では改善できません。そういった場合は医療的処置が必要になります。

心理療法は魔法ではありません。そのため、以下の方は改善が困難です。

◆自分の問題をご自身で取り組んでいく気持ちがない方
◆カウンセラーもしくは心理療法が自分を変えてくれると思っている方
◆親や周囲の人に言われて、関係性の維持のために仕方なく来訪された方(自分では変わっていく気がない方)

心理療法とは、悩んでいる方ご本人が体験してきた経験の中で、「学習してきた感じ方」や「信念、価値観」の中からご自身で気づきを得て、悩みの原因とならないように新たな行動や考え方にシフトしていけるように、心理学の理論や考え方をもとに、様々な技法を用いてサポートしていく方法の一つです。そのため、心理カウンセリング後のご自身での取り組みがとても大切になります。たとえて言うと心のパーソナルトレーニングのようなものです。

詳しい一連の流れは事前相談で丁寧にお伝えいたします。

心のしくみ

当方のカウンセリングルームにご相談にいらっしゃる方の中には幼少期の家族関係が原因かもしれない”生きづらさ”と言われるキーワードでご来訪される方もいらっしゃいます。そして、理由はわからないけどなんとなく「自分に自信が持てない。」「漠然と対人関係が怖い。」などの感じ方をお持ちになっています。

人が健全な情緒の発達を育んでいくためには親は親としての役割(子供の素直な表現をしっかりと受け止める、必要に応じてしかるなどの教育)を果たし、まだ体力や知性、経験値もない子供はその中で自由な表現をしながらも気持ちを受け入れてもらった体験や失敗体験を繰り返して、なおも親に受け入れてもらうことで安定した心の発達を遂げていくと心理学では考えられています。ところが、何らかの原因で親が親の役割を果たせない、子供が親の役割を果たそうとしてしまうなどの心理的にアンバランスな役割の相関関係のもとで育ってしまうと「自分の意見が言えない」「自分に自信がなく人目を常に気にする」「いつも自分が悪いと感じる」などの感覚を持つ大人になってしまうことがあります。このアンバランスな役割関係になってしまっている家族を機能不全家族と呼びます。

そして、この機能不全家族のもとで育ち「人目を気にしすぎてしまう」「対人関係に自信がない」など、漠然と”生きづらさ”を抱えて大人として生きている人をアダルトチルドレン呼ぶ表現があります。(あくまで俗語であり正式な学術用語ではありません。)

心のしくみ

失敗したり、他人と自分を比較して「どうせ自分なんて…」と自分をダメだと思ってしまう…
私自身も以前は自然とそのように感じてしまう心の個性がありました。

人は幼少期には親に保護してもらわなければ生きていくことはできません。
そのため、親や兄弟などから肉体的暴力を受ける、言葉により精神的にダメージを受けるなど傷ついた体験から周囲から受け入れてもらえないと
まだ知性や経験値がない子供は、親や家族から受け入れてもらえないのは「自分が悪いからだ。」と考えてしまうことがあります。
そして、他人と比較されて自分を否定される体験をしていくことで「自分はダメなのだ。」という思いが強化されていくと考えられています。
大人になって、自分自身で頭では「前向きに」とか「自分を好きになろう」などと努力しても、さらには痛ましいほどの努力を重ねても
自分を建設的に受け入れることができないとても苦しい感じ方かと思います。

とはいえ、逆を言えば「どうせ自分なんて…」と自然と感じてしまう心の個性には、原因があるということでもあります。

私自身、現在では「どうせ自分なんて…」と考えることは全くありません。日々の中で様々あっても建設的に過ごすことが出来ています(^^)

心のしくみ

白黒思考、とか二極思考(ゼロ百思考)という言葉を聞いたことがありますか?
心理学の”精神分析”という分野の中で考えられている、成長の途中である子供の頃には誰もが持っている心の個性のことです。

人間の脳はは概ね三歳ころまでに成人の脳と同じ形に形成されると脳科学では考えられています。子供がその後の経験の中で様々な体験を学習していく中では、物事の答えがはっきりしていないと、まだ未熟で幼い思考しかできない子供には、物事のあいまいな機微はわかりづらいため、良いor悪い、好きor嫌い、などの極端な振り幅で物事を理解しようとします。子供の頃はこれでOK。その後、成長と共に次第に体験の中でものごとのあいまいな部分を理解するようになっていきます。

ところが、この思考パターンが大人になっても残ってしまい、対人関係の中で影響してしまうことがあります。

例えば、苦手だと感じている相手に挨拶したら、良い反応がない(と感じた)「きっと私の事嫌がっているのかも…だったら無視してやろう…」など。相手に自分の声が聞こえにくかったかもしれないし、その相手はその瞬間は何か別のことで頭がいっぱいだったのかもしれないのに、自分を嫌って挨拶をしてくれない、と感じてしまいだったら無視してやろう…などの極端な態度に出てしまう。
相手の都合や背景などが読めれば様々な考えが浮かぶので気になりにくいのですが、好きか嫌いかで物事をとらえるので心的負担がとても大きくなります。
このように、大人の対人関係でも白黒思考という心の個性が強く出てしまうことで自分自身がトラブルの種をまいていることがあります。
アダルトチルドレンの心の個性で悩んでいる方の中には、気付かずにこの極端な振り幅で物事を捉えてしまっていることで、大きな心的負担を負っている場合があります。

そんな心の個性に悩んでいる方には、インナーチャイルドセラピーを通じて「幼少期に負った心の傷」を癒すことで、”人物や物事を捉えなおしていくこと”がとても有効となります。