人間関係のトラブルの原因とは、価値観の不一致

悩みの原因になりやすい事柄の中で多くあげられるのが対人関係のトラブルかと思います。
夫婦関係や恋愛、職場の人間関係などなど、ケンカになったり、言わないけれど雰囲気悪くなってしまったり…嫌ですよね。

表面的な原因は様々ありますが、心の中での「トラブルの原因」にあげられることのひとつが、双方の「価値観、信念体系」(心理学ではビリーフとも言います。)の不一致です。
この「価値観」は人それぞれが、生まれてからの体験の中でそれぞれが固有に積み重ねられて作られていきます。
そのため、皆違って当たり前、といえばそれまでなのですが、厄介なのは、人それぞれ「自分と相手は同じはず。」と、どこかで思っている節があることです。これを「母子一体感」と呼ぶことがあります。

「母子一体感」とは子供の頃に誰もが持っている心の個性で、大人になってもある程度だれしも持っています。
子供の頃は誰もが一人で生きていくことができず、まだ知性も経験値もない子供は母親に対して、「自分の考えていることは何でもわかっていてくれているはず。」という幻想を抱いています。そして、両親にある程度容認してもらいながら成長していくことで、10代の中盤から後半の思春期以降に、様々な価値観を経験して大人としての自分を確立し、「親と自分は別の存在」として、一人の大人へと心の発達をとげていきます。
ところが、この「母子一体感」が幼少期にあまり満たされずに成長すると、対人関係の中で「言わなくてもわかってもらえるはず。」という感じ方が強く残ってしまうことがあります。

ひとはそれぞれの、本音や願望「○○したい、○○であって欲しい」と価値観「~○○であるべき、~○○であらねばならない。」のバランス中で調和し社会生活を営んでいますが、家庭や職場などで会う機会が多い人(関係性が近い人)に対し、自然と「言わなくてもわかって欲しい。」(母子一体感)を求めてしまいます。
「旦那は(妻は)私の気持ちを察するべき(俺の言うことを聞くべき)。」「なんだよ、あの上司!!上司のくせにだらしない!!(上司は常に立派であらねばならない)」などを求めると悪口になったり、無視するなど、トラブルの種となっていきます。

先の話の通り、価値観は人それぞれ小さい頃からの体験の積み重ねで作られていきますので、似たような価値観でも人それぞれ違います。
近い価値観を共有しやすい人同士であれば調和しやすく、違っていても受け入れられる人ほど安定した人間関係を築きやすいのです。
反対に、小さな不一致すら気になってしまう、違うことなどありえない!!と、なってしまう人ほど、人との摩擦が起きやすくなってしまいます。

人間関係に悩むときは、この自分自身の持っている「本音や願望」をしっかりと認めてあげること、そして「価値観、信念体系」を客観的に見直して自己理解をしていくことがとても有効になります。そういった機会を持ち、自身の価値観を柔らかくしていくことで、その後の人間関係を柔軟にしていくことが可能です。

効果的に活用されている方の一例がこちらです。※事例は個人情報保護のため一部改変しています。